北海道 西村農場

2019-09-02
西村夫妻は北海道夕張郡由仁町で100年続く農家の五代目。由仁町は1年を通して穏やかな気候だが、朝夜の寒暖差が大きいため野菜がおいしく育つそう。ビニールハウスには美しいトマトがたわわに実っている。 第一回目の生産者紹介では西村夫妻に、「だしとまと」にかける思いやこだわり、消費者に伝えたいことについてお話を伺った。

ハネムーンで運命の出会い

新婚旅行は中南米・北米・ヨーロッパを旅する世界一周旅行だったそう。「アメリカではよく自炊をしていました。その前に行った中南米は物価が安かったのですが、アメリカは高くて(笑)。 そこでトマトを買って生で食べたのですが全然おいしくなくて、パスタソースにして食べたらおいしかった。それが加熱調理用トマトとの出会いです。それまでは、加熱調理用のトマトがあるということを知らなかったんです」。

「だしとまと」一本で勝負

帰国後、就農したら何をやろうかと二人で考えていた時に、たまたま読んだ農業雑誌にちょうど加熱調理用トマトの特集があった。旅行中に食べていたトマトを思い出して縁を感じ、「このトマト一本で勝負をかけよう」となった。 このトマトの品種はシシリアンルージュだが、西村農場ではそれを独自の栽培方法で育て、「だしとまと」としてブランド化して販売することを決めた。生産者の少ない品種を選んでブランド化し、本州でトマトが品薄になる時期に生産して販売するという戦略的経営を行う西村農場。だが妻・宏子さんは、「勇気のいる決断でした。一年目はあまり売れなくて二人でイライラしてました(笑)」と話す。しかし今年二年目の売れ行きは営業の成果もあってか、一年目に比べ伸びている。

加熱したときに最高においしくなるように育てる

栽培の仕方にはこだわりがある。「土耕と養液の2つの方法で栽培しています。土耕栽培では魚介や鶏糞などの有機物の使用でうまみ成分を増やす工夫をしています。養液栽培では身がジューシーになるように、栽培のステージごとに養液の分量や水分量を細かく調整しています。またカルシウムの葉面散布などで食味を向上させつつ、病気を予防して農薬を減らす努力もしています。」と語る。 「『だしとまと』は生で食べてもおいしいですが、加熱した時が一番おいしいと思っています。ですから、西村農場では『加熱調理用』としてこだわりを持って売り出しています」とのこと。

「おいしい」の声が一番のやりがい

収穫期、西村農場の1日は早くそして長い。朝5時から収穫を開始し、トマトの管理、出荷準備、事務作業などを終え、帰宅するころには夜7時になる。夫・友輔さんは「どんな仕事も同じように大変ですよ」という。その通りだが、やはり15時間近く仕事をしていると聞くと大変な印象だ。しかし、「だしとまとを食べたお客さんから聞く『おいしい』の声が一番のやりがい」なのだという。

生食用のトマトを加熱調理している人にこそ違いを感じてほしい

加熱調理用のトマトは、かれこれ20年ほど前からメディアに取り上げられているが、あまりなじみがないという印象だ。レシピサイトもレシピ本も料理番組も星の数ほどあるが、材料に「加熱調理用トマト」を使用しているものはまだまだ少ない。その為、いつでも売っている生食用のミニトマトや大玉トマトを加熱調理している消費者も少なくないだろう。かく言う筆者も、存在は知っていたものの手に取ってみることは無かった。西村夫妻は「そんな消費者にこそ是非違いを味わって頂きたい」と考えている。
ぎっしり実がなる景色は壮観だ
たわわに実った美しいだしとまと
北海道 西村農場さんのプロフィール